研修参加記録

第19回寺子屋わーく

R1年9月17日

今回は「ホームヘルスケアタウンうつのみや」主催の勉強会に参加してきました。 

テーマは「栄養ケアステーションについて学ぼう」
講師:村井クリニック管理栄養士 岩本啓子氏
          言語聴覚士 福田麻希子氏

司会:済生会宇都宮病院 看護師 纐纈由美子氏 座長:村井クリニック 村井邦彦院長

初めに言語聴覚士の福田さんから「摂食・嚥下機能と食事支援のポイント」を聞きました。

嚥下は5つの工程で成り立つそうです。

  1. 先行期
  2. 準備期(咀嚼期)
  3. 口腔期
  4. 咽頭期
  5. 食道期

こんなに細かく分けて考えて食べたことないです、今まで。

  1. 先行期:食物を取り込む前の過程。目で見て手で触り鼻で香りを認知。どのように食べるかを判断。
  2. 準備期:食物を口へ取り込み咀嚼し唾液と混合させ嚥下しやすい形態に整える。
  3. 口腔期:咀嚼した食塊を口腔から咽頭へ送り込む。この時、口唇を閉じる事。口の奥に食塊を送り込むために舌を口蓋に押し付ける。
  4. 咽頭期:嚥下反射が起こる過程。(反射とは意識しているわけではないので高齢になるとにぶくなる)咽頭期の中でさらに過程が分かれます。
    ①軟口蓋が後方へ動き鼻咽腔を閉鎖(鼻への逆流防止)
    ②咽頭蓋が倒れて咽頭(気道)を閉鎖
    ③食道入口部が開く
  5. 食道期:食道入口部を通過して食塊が食道へ入る。

ここまでが嚥下の工程。

次は「なぜ誤嚥が起きるか?」です。

誤嚥には3つのタイプがあるようです。

  1. 嚥下前誤嚥:食べ物を咀嚼中に、口の中に食べ物を留めておけず嚥下反射が起こる前に喉の奥へ流れ込む。この時汁と形がある食べ物のうち汁だけが流れてしまう。
  2. 嚥下中誤嚥:咀嚼が終わって嚥下しているときに何らかの理由で咽頭蓋が気道を防ぐタイミングがずれ気道へ食べ物が入ってしまう。
  3. 嚥下後誤嚥:海苔やわかめ、かつお節など薄くて付着しやすい食べ物が食後しばらくたってから喉の粘膜からはがれて気道へ入る。

3に関しては「あるある」と思いえますね。これに関しては食べた後トロミ水やゼリーを食べると防げるようです。

食事の正しい方法、安全な姿勢や食事の準備、介助の手順も聞きました。

  1. 高齢者の食事の特徴
  2. 食事の時の正しい姿勢
  3. 食事をする前にすること
  4. 食事の介助の方法
  5. 正しく介助して食事を楽しい時間に

1.高齢者の食事の特徴

  • やわらかいものを好む→歯、あごの力が落ちている。喉の筋力が落ちている。
  • 乾燥したものは飲みにくい→唾液が少なく喉の筋力が落ちている。
  • 喉の渇きを感じにくい→自分から飲みたがらず脱水しやすい。
  • 濃い味付けを好むようになる→味覚、嗅覚の衰え。冷たかったり味が濃いと飲み込みやすい。
  • 胃もたれしやすい

2.食事の時の正しい姿勢

食事姿勢(クリックで拡大)

・ベット介助の姿勢

ベッドの上での食事 (クリックで拡大)

・あごの角度に注意が必要

あごの角度 (クリックで拡大)

3.食事をする前にすること

  • 排せつをすませる
  • 食事しやすい環境を整える
  • 口の中を清潔にする(食事前に歯磨き)
  • 唾液の分泌を促すトレーニング(アイスマッサージ:冷たい氷水をスポンジに含ませ口の中に入れてマッサージ)
  • 手を清潔にする(認知症の人は手で食べてしまう)
  • 安全な姿勢確保
  • 献立を説明

4.食事介助方法

  • 安全な体勢を確保
  • 介助者が隣に座る
  • 食事の前に水分を補給
  • 水分の多いものから食べる
  • 主食、副食、水分を交互に。ティースプーン1杯分。
  • 食事を急かさない。
  • 終了後は摂取量を確認。
  • 口腔ケア~リラックスできる状態へ。

5.正しく介助して楽しい時間を
・食事の時間は楽しみにもなれば、苦痛にもなりえます。

以上のようなためになる話の後に「健口体操」を教えていただきました。 こちらは実際に顔を思いっきり動かしての体操ですが絵心がないので割愛させていただきます。

次は管理栄養士の岩本さんのお話です。
村井クリニック内で「認定栄養ケアステーションうつのみや」を始め言語聴覚士の福田さんと利用者さんのみならず地域の方の栄養状態評価や特定保健指導も行っているようです。

食事や栄養の事で困っている事の相談に乗ってくれるようです。

QRコード
  • 食欲が出ない
  • 最近急に痩せた
  • 元気や意欲がなくなった
  • 噛むことや飲み込むことに問題がある
  • 管理栄養士に相談したいことがある

等々の相談に必要なサービスを提供してくれるそうです。

 

写真は管理栄養士の岩本さんお勧めの「トロミ付きビール」です(もちろん研修中なのでノンアルです・・・)

岩本さんによると高齢者は食べることが難しくなっても「ビール、マグロ、鰻」が口にしたい食品3品だそうです。確かにどれも美味しいですよね。
形状が多少変わっても、好きな食品を工夫して食べられるって幸せですよね。

また、お粥も実際に食べてみて、唾液が付いたスプーンを使用しているうちにお粥が唾液の酵素で分離し、誤嚥しやすい形状になることが分かりました。↑にも記入したように固形と水分では口から喉に流れる時間に誤差があります。

まだ飲み込む用意が自分の中で出来ていない時に水分だけ流れてきたらむせますね確実に、私。

その他、ほかの人から飲み物を飲ませてもらう体験もしました。
今回の研修は体験型でとても分かりやすくためになりました。