研修参加記録

第4回NHO宇都宮病院 看護・介護連携懇談会

令和1年11月19日

18時20分~第一会議室にて
・地域医療連携室から:地域医療連携室・増田医師
・診療科紹介    :各診療科医長
・意見公開

宇都宮市医療・介護連携支援ステーションご紹介

ステーション 電話 ブロック担当区域
地域包括支援センターの圏域
NHO宇都宮病院地域医療連携室内(宇都宮市下岡本町2160) 028-673-2374 直通 北:富屋・篠井、上河内、 田原、かわち、奈坪、豊郷
東:きよはら、鬼怒、石井・陽東、峰・泉が丘
NHO栃木医療センター地域医療連携室内(宇都宮市中戸祭1-10-37) 028-622-5241 代表 西:城山、砥上、姿川南部、細谷・宝木、くにもと
JCHOうつのみや病院地域医療連携室内(宇都宮市南高砂11-17) 028-655-1161 直通 南:緑が丘・陽光、よこかわ雀宮・五代若松原、雀宮、瑞穂野
済生会宇都宮病院地域連携課内(宇都宮市竹林町911-1) 028-626-5500 代表 中央:きよすみ、さくら西 今泉・陽北、御本丸、ようなん

開設時間:月~金(祝日・年末年始除く)午前9時~午後5時

この他、各ステーション間の連携を支援する「宇都宮市医療・介護連携支援センター」を宇都宮市医師会内(028-622-5255代表)に設置しています。

Q&A

Q1どんな相談ができますか?
A1:「訪問診療に対応している医療機関を教えて欲しい」「訪問看護の依頼先について相談したい」など医療・介護従事者からの医療・介護に関する相談に対して、関連する様々な情報提供や連携支援を行います。

Q2市民も相談できますか?
A2:原則として、医療・介護連携支援ステーションは、医療・介護従事者の連携支援を目的としているため、市民からの相談はお受けすることはできません。市民からの相談は、従来通り地域包括支援センターなどで対応します。
ステーションと地域包括支援センター・ケアマネジャーなどが連携することで、医療と介護の一体的なサービス提供につなげていきます。

Q3相談はどのような方法で行えばいいですか?
A4:医療ソーシャルワーカーや看護師など、専門のスタッフが常駐しています。ご相談の際は、電話のほか、直接窓口にお越しいただいても結構です。
(窓口にお越しの際は、事前にご連絡ください) なお、相談料はかかりませんので、お気軽にお越しください。

Q4「顔の見える関係づくり」に向けた研修の参加したいのですが、開催情報はどこから入手することができますか?
A4:医療・介護従事者向けの研修開催情報は、「宇都宮市地域包括資源検索サイト」に随時掲載していきますので、ぜひご覧ください。(なお、医療・介護従事者向け研修会の情報などをご覧いただくには、施設情報を登録の上、専用IDとパスワードによるログインが必要です)
「宇都宮市地域包括資源検索サイト」 ⇒ https://www.u-carenet.jp/

○問い合わせ先

⇒宇都宮市 保健福祉部 高齢福祉課 地域包括ケア推進室
〒320-8540 栃木県宇都宮市旭1丁目1番5号
Tel:028-632-5328 Fax:028-632-3040

○ついでNHO宇都宮病院

◇診療科紹介

  • 総合内科:月・水・木・金(午前)
  • 糖尿病・内分泌内科医:月(午前・午後)・火・水(午前)・木(午前・午後)・金(午前)
  • 神経系内科:月(午前・午後)
  • 神経難病外来:水(午後)予約制
  • 消化器内科:月・火(午前・午後)、水(午前)、木・金(午前・午後)
  • 呼吸器内科:月~金(午前・午後)
  • 禁煙外来:木・金(午後)予約制
  • アレルギー外来:火(午後)予約制
  • リウマチ膠原病内科:水
  • 小児科:火(午前・午後)、水(午前)、第2,4木(午後)、第4以外金(午前・午後)予約制
  • 外科:月~金(午前・午後)
  • 整形外科:月~金(午前・午後)
  • リウマチ科:水
  • リハビリテーション科:水~金
  • 装具外来:月・金
  • 側弯症外来:木(午前)
  • 障がい者歯科:金

☆「神経難病外来」開設

対象となる主な疾患「パーキンソン病」「多発性硬化症」「筋萎縮性側索硬化症ALS」「脊髄小脳変性症」「重症筋無力症」「進行性核上性麻痺」など
「難病」とは(1)発病の原因が不明、(2)治療方法が確定していない、(3)希少な疾患、(4)長期療養が必要、という4つの要素を全て満たす疾患と定義。
神経難病は脳神経系の難病であり、運動機能やコミュニケーション機能などが進行性に障害され医療依存度や看護や介護の負担が大きくなるため、医師や看護師だけでなくリハビリテーション、、医療ソーシャルワーカーなど他職種協働によるチーム医療を必要とします。
NHO宇都宮病院は栃木県難病医療ネットワークの「難病医療協力病院」に指定されています。

★神経難病外来の役割として

・診断目的・外来での継続加療・レスパイト入院の相談
・当院神経難病病棟への長期入院相談があります

☆「アレルギー外来(成人)」開設

対象となる症状・疾患「長引く咳」「治らない喘息」「重症のスギ花粉」「各種のアレルギー疾患」「(食物、ハチ、薬物、ラテックスなど)」
「原因不明のアナフィラキシー」など
令和元年2月に栃木県から「アレルギー疾患医療中核病院」に選定を受け、アレルギー外来を開設。医師・看護師・薬剤師などによるチーム医療体制の下で重症喘息に対する抗体製剤治療やスギ抗原/ダニ抗原に対する舌下免疫療法(根本治療)など、最新のアレルギー治療が本格的に可能となります。(予約制)

 

NHO宇都宮病院の現状と構想「再検証対象医療機関」の実際

沼尾利郎     宇医会報(令和元年11月1日発行より)

1.はじめに

 厚生労働省はこの度「再編統合の対象となりえる公立・公的医療機関(再検証対象医療機関)」を公表し、私が勤務する国立病院機構(NHO)宇都宮病院はその一つに挙げられました。このため、一部の医師会員や地域の皆様には「宇都宮病院は患者が少なくて経営不振なのか?」「宇都宮病院は効率の悪い経営をしているのか?」などと思われたかもしれませんが、事実は異なります。
本稿では病床再編(機能転換)とダウンサイジング(100床減/15年間)などを解説し、当院の状況や今後の対応(将来構想)について解説させて頂きます。

2.診療機能に合わない指標(ものさし)

 当院は急性期(がん、2時救急など130床)、回復期(地域包括ケア病棟60床)、慢性期医療(重症心身障害、神経難病、結核など180床)の3領域をカバーするケアミックス病院です。つまりマルチタスク(多機能)病院なのですが、今回の分析は主に急性期総合病院の指標(がん、心疾患、脳卒中、救急など)だけに基づくものであり、当院の慢性期医療や回復期医療の診療実績は全く評価されていません。
当院においての急性期医療は病院全体の診療の一部に過ぎないため、その実績が(急性期だけの病院に比べて)少ないのはある意味当然なのです。地域の実情を十分に踏まえた医療を提供しているマルチタスクの病院がシングルタスクの指標だけで評価されたことは当院にとって誠に不本意であり、大変困惑しています。

3.地域から求められる医療

 宇都宮医療圏において重症心身傷害病棟(100床)と地域包括ケア病棟(60床)はどちらも当院のみ(オンリーワン)であり、いずれも90%以上の高い病床稼働率を維持して地域の医療ニーズにこたえた診療を実践しています。一方、足利赤十字病院が2018年度末に結核病床を廃止したことを受け(結核収容モデル事業は実施)、当院は(事実上)県内唯一の結核患者入院施設となりました(こちらもオンリーワン)。
地域医療構想においては、公立・公的医療機関の役割が「民間病院では担うことのできないものに重点化されているか」が問われていますが、当院は上記のような公益性の高いセーフティーネット系医療を担ってきた経緯があり、今後も責任をもって継続する覚悟です(不採算だからやめるという発想はありません)。
なお、当院の急性期(救急)医療は総合病院のような(高次)救命救急とは異なり、2次救急や高齢者の在宅支援救急あるいは結核(疑い)や在宅障害者のための専門特化救急がメインです。

4.病床再編とダウンサイジング

 当院は2004年に国立療養所からNHOに組織改編しており、数々の病院改革を経てその診療体制や診療内容を大きく変化させてきました。まず職員の意識改革を勧めて仕事の透明性・公正性・競争性を徹底させ、2次救急・がん・難病などの専門性を高めて県の施設認定を受け、地域医療支援病院の承認を得て「地域に貢献し地域に必要な病院」であることを実践しています。
また、経営改善後は高度医療機器の購入や人員を増加させて医療の質を向上させ、逆紹介を増やしたりして外来のスリム化と効率の良い働き方を図りました(2018年度の逆紹介率は105%)。
一方、医療ニーズの変化に対応して段階的に病床再編を行い(回復期と慢性期の増床、結核の減床)、病院全体の病床数は独法後の15年間で480→380まで減らしました。院内の様々な改革と多方面かつ双方向性の地域連携を進めた結果、2008年度からは11年連続黒字決算(2018年度の経常収支率は関東信越にある32機構病院中トップ)という成績を得ています。
なお当院は現在「病棟等建て替え整備計画」が進行中であり、2022年度の完成に合わせてさらなる病床再編(急性期の削減と回復期の増床)を予定しています。

5.おわりに

 社会の急速な変化に対応して医療者の意識や医療機関の機能も変わる必要があり、地域包括ケアシステムの構築を実現するためには「自院ができることをする」というサービス志向型アプローチから、「地域から求められること(地域に必要なこと)をする」というニーズ志向型アプローチへと展開することが大切です。ビジネスの世界でいえば「プロダクトアウト」(作り手が作りたいものを作って売る)ではなく、「マーケットイン」(現場のニーズや課題解決を重視して物やサービスを作る)と言う発想こそ重要と言えます。
これはつまり、「(自分が)やりたい医療」から「(地域や社会が)やって欲しい医療」に変わるべし、ということですね。
根拠に基づく「医療の賢い選択」と無駄を減らした生産性の高い「筋肉質な医療(病院経営)」を目指して努力いたしますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

去年11月に話を聞いてから10か月以上の月日を過ごしてから研修を振り返り(まとめる気力が低下していました。面目ない)、この10か月に様々なことがありました。
中国を発症とする新型コロナウイルス。まさにコロナ渦での社会活動、経済活動。自粛を経て「今すべきこと、できること」を皆が模索しています。
NHOの沼尾先生がおっしゃるように、社会や地域が求めているニーズにポイントを合わせて動いていくことが必要です。